8月28日に女性卒業生を中心に「地域における女性医師支援ネットワークづくりに役立つ参考事例(香川版・島根版)」をテーマに意見交換を行いました。
香川県、島根県での女性医師支援取組みを元に卒業生から事例発表をしていただき、今後の各都道府県ごとの女性医師支援の取組み等について意見交換を行いました。議事録には都道府県内の中での女性同士のアプローチの仕方などについていただいたご意見をまとめましたので、多くの方に読んでいただけましたら幸いです。
27年10月15日、卒業生個別訪問調査のため静岡県下田市にある下田メディカルセンターを訪れ、静岡県33期の高津南美子先生のお話をうかがいました。
個別の勤務先訪問調査は、地域において困ったことや悩んだときに大学などに相談する以前に自分の努力で解決している女性医師の実態を把握させていただき、今後の女性医師支援の一助とすることをその目的としています。女性医師支援担当教員が卒業生の勤務先を訪問し、平成20年から始まった本取組みはこれまでに20名を超える女性卒業生が聞き取り調査にご協力いただいています。
今回の訪問調査は女性医師支援担当教員の石川由紀子先生(静岡県17期)と地域医療推進課事務1名でお話をうかがい、高津先生からはこれまで勤務してきた兵庫県と静岡県での勤務や育児についてをお話しいただきました。
「子どもの成長・吸収のはやさを見て、自分の糧にしている」とお話しされる高津先生がとても印象的でした。
大変お忙しいところお時間を割いていただき聞き取り調査にご協力いただいた高津先生にこの場をお借りして感謝申し上げます。
●高津先生から学生へのアドバイスを伺いました
出産を考えたときは、その時の職場の状況や子供の預け先などの協力体制の有無等、周囲の状況をみて出産できるタイミングであれば踏み切れば良い。また、妊娠にあたっては栄養や規則正しい生活に気を付け普段から自分の体調を整えておくことが大切。
下田メディカルセンター正面。伊豆急下田駅から歩いて15分ほど。
メディカルセンター敷地内にある職員寮の中に院内保育「きんめ保育園」があります。
左:高津先生、右:石川先生
先週木曜日(9/17)に行った富山県・愛媛県出身女子学生との学生懇談会に引き続き、茨城県出身女子学生との学生懇談会を行いました。
今回お話しいただいたのは茨城県26期の白土綾佳先生です。当日は茨城県笠間市立病院からお越しいただき、女子学生は4名集まりました。
始めに白土先生からスライドを用いて、地域の女性医師として自治医大卒業生としてのキャリアパスについてをお話しいただきました。義務年限が明け、総合医か専門医を選択する際に考えたそれぞれのメリットデメリットについてや現在勤務している笠間市立病院について、仕事と育児を両立するべく病院とその敷地内にある宿舎とを奔走するとある一日のタイムスケジュールなどについて話があり、話を聞く学生のまなざしも非常に真剣でした。
続いてのフリートークでは学生からは産休・育休取得に際し臨床を離れる不安はなかったかと質問があがりました。白土先生からはご自身は産休のみでの復帰だったが、育休を1年取得した周囲の女医の話を聞くと最初の1ヶ月は不安もあったが手技を忘れることはなく次第に勘は取り戻せる、また育休中は本人のやる気次第で勉強時間を確保できるチャンスともお話しいただきました。
さらに学生からは県内の病児保育の事情についての質問もあがり、関心の高さがうかがい知れました。
フリートークでは[職場(公)に『家庭(私)』を持ち込む/家庭に『職場』を持ち込む]お話しがありました。仕事中でもスタッフの育児への力添えがあって病棟業務を円滑に進められること、近所のスーパーで買い物中に患者さんから声をかけられその場で健康相談に応じている、などのエピソードをお話しいただきましたが、「その場でできる最善のことをする」とお話しされる白土先生は地域からも病院からも家族からもとても頼りにされている、病院の内外を問わないGeneralistだと感じました。
今回の機会が、今後、学生が卒後の勤務について考える上で参考になれば幸いです。
この場をお借りして、雨の中足を運んでくださり貴重なお話をしていただいた白土先生に御礼申し上げます。
★参加した学生からの感想(M6 神徳穂乃香さん)
あまり会う機会の持てない県人会の女性の先生とお話しする機会を作っていただいて嬉しかったです。話のなかで、3人もお子さんを出産しながらも、旦那さんや職場に協力してもらいながら総合医として働いている姿は大変頼もしいと感じました。「職場に『プライベート』を持ち込む」ことに関しての定義の話は個人的に大変印象的でした。今回の話を、将来自分のキャリアを考える時に思い出して生かしたいと思います。
☺白土先生からの学生に伝えたいメッセージ
・仕事と家庭との両立はどちらか一方だけより気持ち的に楽。スイッチを切り替えている。
・先の人生は長い。社会的に貢献できる職業であると自覚を持って続けたい。
・問題は抱えこまず、男女問わず共有する。
・顔を知っている同級生と同じ職場で働けるのは強み。学生時代から良好な関係を構築してほしい。
・色んな女医さんのパターンを見てほしい。
・これからの人生は明るい!
これまでに「卒後ワークライフバランスについて考える会」として卒業生を演者として迎え、キャリアや育児と仕事の両立についての講演会・懇談会を行ってきたところですが、学生により具体的に卒後の勤務等について考えてもらう機会として、卒業生の先生とその出身県の女子学生との懇談会を開催しました。
今回のブログの記事は参加した学生さんに書いていただきました。
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今回の記事を担当いたします、富山県39期、医学部6年生の吉村成子です。
平成27年9月17日(木)、富山県30期卒業生の小黒真希子先生をお迎えし、女子学生との交流会が開かれました。会には、富山県と愛媛県の女子学生7名が参加し、牧野先生、石川先生、山本先生にもご出席いただきました。
小黒先生は愛媛県の同級生とご結婚され、これまでに富山県と愛媛県の両方での勤務経験がおありです。パートナーが他県出身の場合の結婚協定や子育てについては、女子学生にとって、非常に興味があると同時に不安に感じる点でもあります。今回は、結婚協定を結ばれ、現在進行形で育児をされている先生とお話できるということで、学生一同とても楽しみにしていました。
まず全員が自己紹介をし、続いて、小黒先生からこれまでの勤務経歴、ご結婚から現在の育児についてお話しいただきました。現在の旦那さんとの遠距離時代のあれこれ、富山県での勤務、第一子ご出産、仕事復帰から愛媛県での勤務、第二子ご出産と現在の育児休業まで、私たち学生の気になっているところを網羅的にお話しいただき、高学年の私はもとより低学年の学生にとっても、将来の自分を想像する良い機会になったのでは、と思います。
フリートークの時間では、一番大変だった時期はいつですか、との質問に対し、初めて主治医になった卒後3年目と第一子出産後に仕事復帰した時期とを挙げられましたが、子育ての大変さを語る小黒先生の表情が明るかったこと、子育ては大変だけれど楽しいといった牧野先生、石川先生、山本先生のコメントが非常に印象的でした。
また、子育てをしながら認定医を取得されたことについては、勤務先や両親など周りからのサポートがあったこと、環境に頼るのではなく、自分から動けば指導してくれる先生はたくさんいるということをお話しいただき、家庭を持ちながらのキャリア形成や、必ずしも派遣先に指導医がいるとは限らないといった状況など、私たちの持つ不安を軽減していただきました。
今回は、ワークライフバランスの会よりも少人数だったこともあり、先生方と学生の距離もより近く、気になっているところを率直に質問できました。また、同じ出身県とはいえ、なかなか交流する機会のない女性医師の先輩との繋がりをもたせていただけたことが、今まで以上に有難いことでした。将来私たち学生が医師となり道に迷った時、相談できる相手として、先輩女性医師の先生方、女性医師支援の方々がいらっしゃるということが分かったのも、大きな収穫だったと思います。
このような貴重な機会を与えてくださった女性医師支援の先生方、貴重な体験談をお話ししてくださった小黒先生、そして地域医療推進課の職員のみなさまへ、この場をおかりしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
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会の最後に小黒先生から学生に伝えたいことを伺いました。
☺小黒先生からのメッセージ
・どんな時でも周囲には支えてくれたり助けてくれたりする人がいる
・自分の目の前のことに一生懸命になることが一番大切
・先のことへの不安が多いと思うが、やってみると制度が整っていることに気付く。社会人の先輩の話をぜひ聞いてほしい
・どんと構えていればどうにかなる。今を楽しんで失敗しながらも色んなことにチャレンジしてほしい
・今を一生懸命に過ごしてお互いに頑張っていきましょう
お忙しいところ足を運んでくださった小黒先生、ありがとうございました。
平成27年8月28日(金)、卒後ワークライフバランスについて考える会ブロック担当会議を東京で開催しました。卒後ワークライフバランスについて考える会は大きく分けて2つあり、学内にて卒業生と学生との交流をメインとした会(7/5実施)と学外の女性卒業生を招聘してこれからの女性医師支援について意見をいただく会(本会)の2本立てで行っています。
H25年度からスタートしたこの会は今回で3回目となり、今年度からは名称を「卒後ワークライフバランスについて考える会“ブロック担当会議”」と改め、気持ちも新たに会を迎えました。
会は、石川鎮清先生(女性医師支援担当)の挨拶に始まり、香川県13期十枝めぐみ先生の進行により出席者から自己紹介をいただきました。その後、大学からスライドを用いてH26年度医学部学生セミナーを行った際に調査したアンケートの結果報告と女性医師支援の1年間の報告を行いました。
全体討論では香川県と島根県の女性医師支援に対する取り組みについて、十枝めぐみ先生、島根県17期白石裕子先生から発表いただき、その後意見交換を行いました。北は青森から西は広島まで全国から総勢8名の女性卒業生に集まっていただきましたが、都道府県によって女性医師支援の取組みは様々で、それぞれの県の実情などを先生方からお話しいただきました。
香川県、島根県での女性医師支援の取り組みの一例として「女性卒業生ランチ会」の話があり、意見交換の際は先生方から活発に意見や質問をいただき大変盛り上がりました。今後、各都道府県で女性卒業生同士の集まりや情報交換の機会を持っていただけるようになると幸いです。
この場をお借りして、遠方よりお越しいただいた卒業生の先生方に感謝申し上げます。
≪今回ご参加いただいた女性卒業生≫
・十枝めぐみ先生(香川13期)・白石裕子先生(島根17期)・横谷倫世先生(奈良21期)
・定金敦子先生(福岡22期)・影向一美先生(新潟24期)・渡邉ありさ先生(埼玉24期)
・濱舘香葉先生(青森25期)・新井由季先生(栃木25期)